省電力なLEDは、コストを抑えて私たちの生活を明るくしてくれる、ありがたい存在です。
しかしこの青色LEDは、睡眠に好ましくない影響を与えることが明らかになっています。
2014年のノーベル物理学賞の受賞者に決まったのは、日本人3人の研究者で、青色発色ダイオードの発明の功績に対して与えられました。
ディスプレイですべての色をつくるには、光の3原色と言われる赤、青、緑の3色のLEDが必要です。
赤のLEDは比較的早く発明されたのですが、緑と青は時間がかかりました。
20世紀中には発明は不可能と言われていたのです。
ところが、それを開発したのが、赤崎勇氏、天野浩氏、中村治二氏の3氏です。
青色LEDの開発に続き、緑色LEDも開発され、薄型テレビやパソコン、モバイルフォンなどが普及しました。
世界に誇る、この技術を日本人が開発したというのは、非常に誇れることです。
青色LEDの開発は、省電力という意味で、とても大きな功績があるのですが、実は睡眠には好ましくない影響があることがわかってきました。
ヒトは20世紀に入るまで、昼に活動し、夜に眠るという生活をしていました。
だから、明るい光を見ると目が覚め、暗くなると眠るように脳が機能しています。
朝目覚めてすぐに明るい光を見ると、夜にたくさん分泌されていた睡眠ホルモン「メラトニン」が減少します。
そして目が覚めていきます。
反対に、夜に明るい光を見ると、せっかく増えたメラトニンが減り、目がさえて眠れなくなってしまいます。
光が明るいと、メラトニンを減らしやすくなり、眠りにくくなります。
これは、光の色によっても効果が違うのです。
青い光は、赤い光に比べて、メラトニンを減らす効果が強いです。
このため、夜は暖色系の照明をつけるとよいといわれています。
見た目が青くなくても、安心できません。
ブラウン管テレビに比べ、薄型テレビからは、ブルーライトが数倍多く出ています。
バックライトとして使われるLEDから、大量の青い光が出ているためです。
テレビのほかに、パソコンやモバイルなど、液晶画面を使うディスプレイはみんな、同じです。
白色のLEDライトは、黄色と青色の光を混ぜ合わせて白くしています。
省エネのためには、LEDの普及は大事でしょう。
しかし、睡眠の質をよくするなら、夜の照明は、白熱灯のほうが良いです。
最近の電気屋では、LED照明ばかりになって、それ以外の明かりが見つけにくいという状況ではありますが・・・
そもそも、白熱灯の生産は、現在では終了して島待っています。
このため、次善の策として電球色のLEDライトや、蛍光灯を使うという案があります。
これで、睡眠に対する悪影響を減らせます。
ピンク色のシーリングライトにすると、睡眠の質が上がった、という報告もあるくらいです。
ノーベル賞受賞はすばらしい功績ですが、眠りついては疑問符がつく青色LED。
明るさを調整できるときは、なるべく低めに設定し、夜の眠りをさまたげないような環境づくりを心がけることをおすすめします。