漢方では、便秘を熱タイプ、気滞タイプ、気虚タイプ、血虚タイプ、寒タイプの5種類に大別することができます。
それぞれの状態に合わせて、もっとも適した漢方を選ぶことが大切になってきます。
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それぞれのタイプでおすすめの漢方をご紹介します。
★熱タイプにおすすめの漢方
腸内の老廃物が、熱と結合して起こっている状態です。
このタイプは比較的体力があります。
のぼせ、頭痛がするというとき、血液の滞りを良くする桃仁(とうにん、桃の種子)が入った「桃核承気湯」(とうかくじょうきとう)がおすすめ。
また、大承気湯(だいじょうきとう)は消化管の通りをスムーズにしてくれて、気分をすっとさせてくれます。
このタイプには、これら2つの漢方を処方するのが代表的です。
★気滞タイプにおすすめの漢方
ストレスなどで気を張っていたり、あるいは滞っている状態です。
精神的なストレスを受けやすいため、気のめぐりを良くする柴胡(さいこ)という生薬が入った「大柴胡湯」(だいさいことう)が良いでしょう。
また、「加味逍遙散」(かみしょうようさん)は、ホルモンの分泌を促進してくれるので適しています。
★気虚タイプにおすすめの漢方
便は乾燥しておらず、栄養と体力不足になっている状態です。
子供や妊娠中の女性でも使用できる、下剤成分が入っていない「小建中湯」(しょうけんちゅうとう)をおすすめできます。
「補中益気湯」(ほちゅうえっきとう)も、胃腸を丈夫にしてくれるので適しています。
★血虚タイプにおすすめの漢方
血液や水分不足により腸をうるおせない状態です。
腸をうるおす効果のある「潤腸湯」(じゅんちょうとう)や「麻子仁丸」(ましにんがん)がおすすめ。
コロコロの便が出るような習慣性の便秘に向いています。
★寒タイプにおすすめの漢方
体を温める機能が低下している状態です。
便秘と下痢を繰り返しているようなときには、「桂枝加芍薬湯」(けいしかしゃくやくとう)や「人参湯」(にんじんとう)が良いでしょう。
体を温めて、胃腸の機能を活性化してくれます。
複数の症状が組み合わさっていたり、5つに厳密に分けられなかったりする場合もあります。
その人の体力や気力を見ながら、便秘解消に使う漢方を決めて行くことが大切です。
便秘解消のために漢方を使っていると、思わぬところから嬉しい効果が表れてくることがあります。
漢方ではこうしたことを「標本同治」(ひょうほんどうち)と呼んでいます。
便秘を直すことにより、体の奥に隠れていた他の症状も改善させることができるのです。
例えば、便秘の解消と共に、肌荒れが治ったり、生理痛が軽くなったりすることはよくあります。
胃腸機能が良くなり、精神面が安定してくることもあります。
体質改善されていくのです。
便秘を対症療法で直しながら、その原因となるところまでケアすることができれば、根本的な解決になります。
便秘が習慣的に続いているときは、漢方での体質改善を考えてみても良いかもしれませんね。