睡眠不足が糖尿病の引き金に

睡眠不足の状態だと、ぼーっとしてしまったり、体の動きが鈍くなったりするもんです。

それ以外にも、体内の気づかないところで、睡眠不足の害は起きているものです。

それが「インスリン抵抗性」という症状です。

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国内外の研究から、睡眠不足によるインスリン抵抗性が、高血圧や糖尿病の発症の悪化に深く関与していることが分かってきました。

オランダの研究によると、たった一晩の睡眠不足でも、インスリン抵抗性が上昇するという結果が出ています。 これが、ひいては高血圧や糖尿病の引き金になると言われています。

インスリン抵抗性とは、「インスリンの分泌はあるのに、効果を発揮できない状態」のことです。

私たちが食事をすると、エネルギー源となるブドウ糖は血液中に運ばれて細胞に吸収されます。

このとき、インスリンの刺激を受けることで、細胞への吸収が促進されます。

しかし、なんらかの理由でインスリンがあってもうまく機能せず、細胞へのブドウ糖吸収が低下することがあります。

これがインスリン抵抗性です。

吸収されないブドウ糖が血液中に増加して、血糖値が高くなります。

高血圧の場合は、インスリンの効果がみられず、ブドウ糖の吸収がうまくいかないと、すい臓からインスリンがさらに供給されて、悪循環を起こすようになります。

すると、血液上昇しやすくなり、腎臓にナトリウムがたまりやすくなります。

こうした複合的な作用により、血圧が上昇します。

実際に、高血圧患者の約半数にインスリン抵抗性がみられるとされます。

インスリン抵抗性が高いほど、心臓肥大、頸動脈の血管肥厚、プラーク形成などを起こしやすくなり、それが動脈硬化リスクを高めてしまいます。

睡眠不足が高血圧と糖尿病の引き金になることを示すデータがいくつか、海外で報告されています。

アメリカのコロンビア大学医療センターの研究では、32~59歳の中年層に、睡眠時間7~8時間の高血圧発症率は12%であったのに、睡眠時間5時間以下の人は24%と2倍になっています。

睡眠不足が高血圧のリスク要因になっていることのあらわれと言えます。

シカゴ大学医療センターによる研究では、糖尿病患者に対して、睡眠が正常なグループと、睡眠の質が低いグループで比較したところ、後者のインスリン抵抗性は、なんと82%も高いという結果が出ました。

睡眠不足など、睡眠の質が悪いと、それだけ血糖コントロールが難しくなるということなのでしょう。

これらのデータから、睡眠不足と高血圧・糖尿病のあいだには、インスリン抵抗性がかかわっている可能性が高いという考えが一般的になっています。

日本でも、高血圧患者、糖尿病患者は、不眠を訴えるケースが多いといわれています。

これらの治療には、良質な眠りをどうとるか、ということがポイントになってくるのかもしれません。

たかが睡眠、されど睡眠です。

質の良い睡眠は、健康のもとですね!

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